Characterクリンカアッシュの化学・物理的性質
化学的性質
ボイラ内で燃焼によって生じた石炭灰の粒子が凝集し、多孔質な塊となりボイラ底部に堆積したものをクリンカアッシュといいます。
クリンカアッシュは赤熱状態でボイラ底部の水槽に落下した塊状石炭灰を、破砕機で破砕、粒度調整したもので、赤熱状態から急冷水洗したため化学的に安定しています。
主成分はフライアッシュとほぼ同じで、大半はシリカとアルミナです。
クリンカアッシュは多孔質で、砂と同様な粒状であるため、その特性を活かした分野で利用されています。
クリンカアッシュの化学組成例(%)
SiO2 | Al2O3 | Fe2O3 | MgO | CaO | |
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クリンカアッシュ | 51.6~64.0 | 17.3~26.9 | 4.2~10.9 | 1.0~2.6 | 2.3~8.8 |
出典:石炭灰ハンドブック
物理的性質
クリンカアッシュの粒子は、ほとんどが細礫と粗砂であり、砂に近い粒度分布になっています。
クリンカアッシュの表面を電子顕微鏡で見ると径0.2~20µm位の小さな孔隙が多数あいています。このような孔隙は、クリンカアッシュ1gあたり0.148cm³にもなります。
1gのクリンカアッシュには、約4.5m²もの表面積があり、細孔がない同じ直径の粒より約1万倍の表面積があることになります。
このようにクリンカアッシュは孔隙構造となっているので、単位体積重量が砂よりも軽く、排水性、通気性がよく、保水性や保肥性に優れているので、ゴルフ場や道路の下層路盤材、およびグラウンドの中層材、岸壁裏込材、テールアルメなどの軽量盛土材などに多く利用されています。
各種土壌の比表面積
(日本フライアッシュ協会資料)
クリンカアッシュ
電子顕微鏡写真(300倍)
Example測定例
クリンカアッシュの細孔分布測定例
クリンカアッシュ表面にある孔隙について、細孔径ごとの細孔容積を測定し、クリンカアッシュ1g当たりに換算して表示したものです。
この細孔容積の合計が全細孔容積で、細孔容積から算出した表面積の合計が全比表面積です。
クリンカアッシュの粒度分布測定例
クリンカアッシュは砂と類似の粒度分布となっています。
クリンカアッシュの透水性測定例
クリンカアッシュは透水係数が大きく、透水性つまり排水性の良いことが分かります。